「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

花恵さんは元々色白だ。けれど言われてみれば確かに――

その顔は蒼白い。というか、色素がないという表現の方が近い気がする。





花恵さんをベッドに寝かせてホッと一息ついた。


さぁ仕事、仕事。今日は残業なんか絶対しなから。独り身だって、独り身ならではのイヴの楽しみ方があるんだから。

なんて、意味不明な強がりで自分自身の気持ちを無理矢理に奮い立たせる。



そうして部屋を出たところで、また米山に呼び止められた。


「薬師丸、ちょっといいか?」

酷く深刻な面持ちでそう言って、私が頷くのも待たずフイと顔を逸らす。そうして身も翻して歩き出した。


逆らう訳にもいかず、陰鬱な気持ちでその背中を追った。



米山はリネン庫の前で立ち止まり、そのスライドドアをおもむろに開けた。そして、ようやく私を振り返り「入れよ」と、静かな抑揚のない声で言う。


渋々、米山のすぐ横を通って開け放たれた入口から中へと入った。

米山もそれに続く。そうして、いつかみたいに後ろ手にドアを閉めた。