米山の望みを叶えてあげることにした。
それからの私は、米山に対して自然に接することだけに尽力し、何年ぶりかに芽生えた初々しい(?)恋心に蓋をした。
あれは米山じゃない。男じゃない。人間ですらない。
――ただの『鼻』だ。デッカイ『鼻』。
そう、思うことにした。
冗談はさておき。
12月24日。
今年のクリスマスイヴも私は独り身だ。
國枝くんとの交際は半年もたなかった。と言う訳で、去年の私も、恋人たちの一大イベントを独りで過ごした。
本日、5Fは入浴デー。入居者さんを一人ずつ順番に3Fまで連れて行き入浴介助をする。
浴室は5Fにはなく、1Fのデイケアと3Fにしかないので。
その為、いつもより職員は多め。
午後3時頃、ようやく終わりが見えて来て心底ホッとする。一日がかりの大仕事である介助浴、あと残るは花恵さんただ一人。



