「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「何お前、自覚ねぇーの? お前って相当、

――綺麗じゃね?」


呆れたように、米山は溜息混じりに言う。



「ああ、そう。だから? だから何?」


「出た出た、美女特有の無関心。だから俺は、お前だったら彼氏なんか、またすぐにいくらでもできるって言いてぇの。昨日のことはスッパリ忘れて……」


「あっ、目、痛っ! お腹も痛い。ごめん、ちょっとトイレ行って来る」


俯いて目を抑え、そして勢い良く立ち上がった。そのまま逃げるように詰所を後にした。



もうこれ以上、聞きたくなかった。おまけに目の奥がじーんと熱くなってきちゃったし。



職員用トイレの個室に篭って、思いっきり泣いた。





米山は、どうして私を抱いたの?

『愛してないと、いいセックスは出来ない』んじゃなかったの?



昨日のあれは――


『いいセックス』じゃなかったの?