「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「男の俺が後悔なんかするかよ」

そう言って、苦々しい笑い声を小さく漏らした。


『相手が私だから』ではなく、『米山が男だから』後悔しないのだそうだ。なるほど、よーくわかりました。



「俺が欲望に負けたせいで、お前に辛い思いさせて悪かったよ。ごめん」

そう言った米山が、本当に本当に、申し訳なさそうに、今にも泣き出しそうな顔をするから、私の方が泣きたくなった。



「欲望に負けたのは米山じゃなくて、『クララ』でしょ?」

そんな軽口を叩いて笑い飛ばした。だって、ここで泣いたら惨め過ぎるし、みっともないし、余りにも無様だ。



米山はフッと鼻を鳴らして苦笑した。そして、

「昨日のことは俺、誰にも言わねぇし」

また意味のわからないことをのたまう。



「何が言いたいの?」


「だから! お前のこと狙ってるヤツ、沢山いるって」


「は?」