「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「よねやまっ……」

と、声を発してみて初めて、自分も息が上がっていることに気付く。たちまち、さっきまでシていた激しくも濃厚な行為を思い出し、顔がカッと熱くなった。


咄嗟に、胸に抱いている枕に顔を埋めた。



が、

「くさっ」

跳ね返されたみたいに、バサッと顔を勢いよく上げた。振り返れば、米山は逃げるように、のそのそと身を起こして私から離れた。


「それ、いつから洗ってねぇかなぁ……」

のんびりした口調で平然とそんなことを言って、米山はニッと笑った。



「これは一年以上寝かせた香りだね。キノコ生えるよ、キノコ」


「芳醇? 芳醇枕?」


「そんないいもんじゃないってばっ!」


「お前さぁ、ずっとそれ大事そうに抱き締めてたクセに、今更だな。つーか、一年も経ってねーし? 多く見積もってもせいぜい二週間だし。新陳代謝が活発なんだよ、健康な証拠だろ?」