どれぐらいの時間そうしていたのか。さっぱりわからないけど、昂っていた気持ちが落ち着いて、随分楽になった。
胸の中から顔を上げれば、米山はそんな私を見下ろして、不安げだった顔をフッと緩めた。
「私が米山を慰めてたはずなのに、どうして逆に慰められてんの？」
いつもの憎まれ口が自然に飛び出した。
「どうでもいーだろ、そんなもん。てかアレ、慰めてるつもりだったのか」
米山はそう言って、小さく笑い声を漏らし、更に続けた。
「戦場で仲間の兵士助けようとして、自分が地雷踏んじゃった訳だ」
「何、その例え？ 全然巧くなし」
「巧いだろーが、ふざけんな」
ムッとして上目づかいで睨みつければ、米山もいつもの不機嫌顔でじっとりと見下げて来る。
そして、ほぼ同時に二人して吹き出した。
二つの笑い声が、どちらからともなく自然に止み、そうして再び見詰め合った。
