「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

ボロッと。左目から一粒、滴が溢れて零れ落ちた。慌ててそれを手の甲でゴシゴシ拭う。



「何コレ? しんみりしちゃってバカみたい。飲み過ぎたかな? こんなの私じゃないし、気持ち悪っ」

そう言って笑い飛ばしてみたけど、米山は表情一つ変えない。

しばらくの間、身じろぎもせず、じぃっと私を見詰めていた。



「泣けば?」

ようやく口を開いたと思ったら、そんなトンチンカンな言葉。



ふっ……ふふっ……。

可笑しくて、思わず吹き出した。


けれど、私の口から出たそれは、笑い声じゃなくどうやら嗚咽で。



米山の大きな両手が私の頬をそっと包み込んだ。遠慮がちに触れたそれがもどかしくて、自分の手を重ねて、ぎゅうっと押さえつけた。



「気が済むまで泣いたらその後(あと)は――

――きっとまた、心から笑える」


掠れた声で囁きながら、米山はその両腕を私の背後に回した。そして、お互いが引き寄せられるようにして、二つの身体の隙間を埋めた。