「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

けれど、何を思ったのか、再び私を見下ろして、

「送ろうか?」

と、気持ち悪いぐらいに優しい声音で言う。


「えっ? いいの?」

無意識に顔面の筋肉がダラリと緩む。


「駅までな」

すかさず付け足された条件。


中途半端な優しさにムッと膨れれば、当たり前だろ、とまた冷たく返された。



人生って、自分の思い通りに行かないことがほとんどだ。妥協は必要。


不満はあれど、駐車場に向かう米山にいそいそとついて行った。





駐車場へ着くと、岐路につく職員たちの流れに逆らってこちらに歩いて来る人影が一つ、遠くに見えた。


それが誰だか嫌でもすぐに気付く。

咄嗟に、米山のデカい図体の影に身を潜めた。


そのまま身を屈めて、米山の背中にピッタリくっついて歩いた。



「お疲れ」

その人は、擦れ違いざま米山に声を掛けたと思われる。全く視界に入らないから、誰に対しての『お疲れ』なのか、実際のところはわからないけど。