「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「米山、薄着だね」

カーキのミリタリーショートジャケットに、いい感じに色の抜けたブルージーンズ。体型が整っているから何を着ても似合うんだけど、組み合わせは『適当に選んだ』風なのにバランス抜群。


実は念入りに計算されているんじゃないの? って深読みしてしまう。



「車通勤だからな」

すぐに普通過ぎる答えが返って来た。


「ふーん」

いいご身分ですね、とどうでもよさそうに続ければ、

「どこが? 車通勤のヤツなんか、俺以外にもうじゃうじゃいるだろ」

冷ややかに隣の私を見下げて言う。


数は少ないくせに達者なお口だ。そういうところが、どういう訳だか知的に感じて、益々惹かれてしまう。



「私が電車通勤だってのに……米山のくせに生意気っ」

全くの言い掛かりと自覚しながらも、苦し紛れに言い返した。


「知るか」

素っ気なく言い放ち、米山はフイと顔を逸らした。