「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

米山は私に、勝ち誇ったような視線をチラリンと送ってから、

「で、沼井さんは何が欲しい?」

さっきの問いをもう一度花恵さんに向かって投げた。



「欲しいものっていうか――

――――家に、帰りたいねぇ」


花恵さんは目を細めて、目の前のツリーをぼんやりと眺めながら呟いた。

その顔は微笑んでいるようにも見えるけど、心なしか哀愁が滲んでいて、ぎゅうっと胸を締め付けられた。




ここへ来たばかりの頃、

「私はどうしてここに居るのですか? 家は○○町の○丁目です。ほら、四条畳店があるでしょう? その裏です。連れてって貰えませんか?」

と、花恵さんは口癖のように何度も何度も訴えていた。


その度に、

「沼井さん、ごめんね。僕、仕事中なんで送ってけないんですよ。お家(うち)の方に迎えに来て貰えるように頼んでみます」

と、一点の曇りもない優しい笑顔で答えていた米山を、今でもはっきり覚えている。