「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

だけど。


「沼井(花恵)さんは今、何が一番欲しい?」


背後から落とされた低い声に、心臓が止まるかと思うほどびっくりした。


おずおずと振り返れば、その声の主はやっぱり米山で。



最悪過ぎる……。もう死ぬしかないじゃん。



「ちょっ、米山っ! なんで?」

焦燥しきって、思わず声を張り上げてしまった。


「『なんで?』って、何が? てかお前、うるせぇ」

対する米山は至って冷静。嫌味なぐらいに落ち着いて返し、大声への指摘も忘れない。



「まだ休憩終わってないじゃん」


「終わってねぇけど、手伝おうかと思って」


「嘘だ」


「はぁ? わざわざ嘘吐く必要あるかよ? 沼井さん、俺も入れて」


米山はソファーの向こう側から回り込んで、花恵さんの隣に腰を落とした。



「入れない! 入れないよねぇ? 花恵さん?」


「あのお姉さん、あんな意地悪言うんだけど……。どう思う?」


米山は花恵さんを味方につける作戦らしい。狡い……。



「お姉ちゃん、仲間外れはいけないねぇ」

花恵さんに優しく諭され、もう米山を追っ払うなんてこと出来なくなった。