「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「えっ……別れるも何も、私たち付き合ってなんかないし」

しどろもどろで答えれば、「もう何で隠すの、みんな知ってんのに」と、残酷な事実を非情にも口にする。



理学療法士の國枝くんは――

はい、彼氏でした。ほんの二週間ほど前まで。



でもそんなの、どうして一々東郷くんに報告しなきゃいけない訳? 『ほっといてよっ!』とか思うのって、全然、我儘なんかじゃないよね?



「付き合ってないし。みんな勘違いしてるんだって」

意地になって言い張った。



「ごめん、なんかいけないこと聞いちゃった、かな?」


当たり前だ。そういうプライベートな質問は職場ではタブーでしょ。



私が何も答えずにいると、東郷くんは困ったように苦笑して、

「これ、ありがとね」

両手で持った横長の箱をほんの少し持ち上げて礼を言い、先にリネン庫を出て行った。