「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「違う違う、ごめん、椅子取って来るね」

白々しく否定して、勢い良くリネン庫を飛び出せばそこに、背の高い障害物が。思いっきりぶつかってしまい、その衝撃で立ち止まる。



私の顔は、厚みのある頑丈な胸板に埋まっていて。慌てて見上げれば、デカ鼻の不機嫌顔が冷ややかに目を細めて私を見下ろしていた。



「勤務中だ、抱きつくな」


誰が好き好んでお前なんかにっ! と思うも、至近距離で見下ろされる威圧感に圧倒されてしまい、「ごめん」と素直に謝った。



米山は私の両肩を掴んで、私の身体をそっと横へ退かす。その丁寧な扱いが余りに予想外で、またキュッと心が縮こまったように感じた。


何コレ?



振り返って視線で米山を追えば、彼の背中はリネン庫の中へと消えた。ハッとして私もそれに続く。