「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「いい? 隣」

ベンチの横に設置されている円筒状の灰皿を目で指しながら、宇留野さんは訊く。

「あっ、どうぞ」

ど真ん中に座っていた私は、慌てて腰を横へ滑らせた。


「どうも」

素っ気なく礼を言い、私の隣に腰を下ろした宇留野さんは、くわえた煙草にジッポライターで火を点す。


宇留野さんは、こちらには見向きもせず正面を向いたまま、ゆったりと紫煙をくゆらしていた。

宴会の席を抜け出して、愛煙家でもないのにこんなところで時間を潰している私に、何も訊いてこない。それは有り難いけれど、どう思っているのか、何を考えているのか、もの凄く気になった。

きっと、私が何処で何をしていようが、宇留野さんにとってはどうでもいいことで、興味なんか更々ないのだろうけど。


「禁煙じゃないですよね?」

何気なく訊いてみる。一応、病棟内の飲み会ではあるけど、医師とか事務員とかも呼ばれていて、煙草を吸ってる人をちらほら見掛けたから。