「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「そうなんだぁ、どんなところに惹かれたんですかぁ?」

景山さんは、またしても興味津々。

「どんなとこって言われても……」

答えられるわけがない。浩平を好きになったのに理由なんかないし。全部に惹かれた、としか言いようがないけど、それを言っちゃったら、更にこの話題が続いてしまう。終わりが見えない。


「すみません、ちょっとお手洗い……」

遠慮がちに小声で伝え、席を立った。もうかれこれ1時間近く、愛想笑い――というか苦笑いを浮かべている気がする。きっと頬が引き攣った酷い顔だ。


用を足し洗面台の前に立って、鏡に映る自分と向き合う。想像以上の酷い顔。

そのまますぐ宴会の席に戻る気にはどうしてもなれず、こっそり店を抜け出した。帰る訳にもいかないから、店を出てすぐ右手にあったベンチに腰掛けた。


ああ、もう、疲れる。そんな幼稚な自分に呆れる。溜息が止め処なく零れた。