「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

私が座った席は、先程、私を呼んでくれた若い男性看護師の隣。確か、山口さん。少し長めの明るい茶髪が印象的な人だ。いつもマスクをしているから気付かなかったけど、右鼻にピアスが光っていた。

ビジュアルは悪くない――どちらかというと良い方だと思うけど、いかにも軽そうな雰囲気が苦手だ。

そして、山口さんと仲がいいのか、私の周囲一体が比較的若いメンバーで固められていた。


乾杯を済ませると、差支えのない会話から始まった。けれどやがては、お約束のように、

「米山さんって彼氏いるの?」

誰かが酒の勢いを借りて、プライベートな話題に踏み込んで来た。他の人たちも、待ってましたとばかりに便乗する。


「結婚してます」

隠す必要もないので即答すれば、

「でも結婚指輪、してないよね?」

女性看護師(推定年齢30前後)が、すかさず突っ込んでくる。