「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「浩平が、私が望んでる答えを『わざと』くれないから」

今更後になんか引けず、私もムッとして言い返した。


「お前の『望む答え』って何だよ? 教えろよ。そしたらそれ、言ってやるから」

「そういうことじゃなくて……」

駄目だ。口では勝てない。私ってば頭が悪いからかな、いつも言い負かされてしまう。


「じゃあさ、浩平が私の立場だったら、どうする?」

「お前は俺じゃねぇだろ」

呆れたように溜息を漏らす浩平。面倒くせぇとでも言いたげに、微かに寄せられた眉根を見て胸がチクリと痛んだ。

大好きな人にこんな顔されたら、私だって傷付く。そんな顔をさせたのは、他でもない私なわけだけども。


「いいから答えてよ」

意地っ張りな私は心の痛みをひた隠して、もう一度、浩平に同じ問いを投げた。


「俺だったら、その花村さんに『看護師に頼まれたら断れない』って言う」

少しも迷うことなく返ってきた答え。それは予想外なもので。


「そんなのっ! 花村さんに何言われるか……。それに浩平、さっき、看護師に頼まれたら断れって言ったばっかじゃん」

「だから、『お前は俺じゃねぇ』っつってんのに……」