「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「お帰り。飯だけ炊いたから、少しゆっくりしたら、買い物行くか?」

そう言って、愛しい人は極上の癒し笑顔をこちらに向けた。


浩平は当たり前のように、出来る限りの家事をこなしてくれる。しかも、一人暮らしの時期が長かったからか、手際も良い。私よりずっと丁寧なのに、所要時間は私の半分。

何に於いても私より優れている浩平。だから、今更劣等感なんか抱かないけど、『いい旦那を貰った』なんて、気楽に喜べなかったりもする。

私なんかと結婚して、浩平は幸せなんだろうか? 私は浩平を幸せにできるの?

自分が幸せの絶頂にいるからこそ、付き纏う不安。



「歓迎会、してくれるんだって」

刺身と酢飯を頬張りながら、何気なく呟いてみる。

今日の夕食は海鮮丼。早い、簡単、美味い、でもお高い。メニューを決める前に浩平がご飯を炊いてくれたから、水の分量はいつも通り。だから、酢飯がほんの少しベタついていて、そこが残念。


「良かったじゃん」

言いながら味噌汁を啜って、向かいに座る浩平は視線を上げた。そして、不思議そうに小首を傾げる。

多分、私が浮かない顔をしていたからだと思う。