「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「まぁそんな杏奈を好きになったのは、他でもない俺だから」

浩平の笑顔が照れ臭そうな苦笑に変わる。


「浩平は我儘で自己中な子が好みってこと?」

「誰もそんなこと言ってねぇよ」

「じゃあどういうこと?」

一歩踏み出して距離を詰め、目の前の浩平を至近距離で見上げた。


どうしても聞きたい。浩平みたいに完璧な人が、どうして私なんかを好きになったのか、すごく知りたい。


「無邪気で天真爛漫で素直。そんな子には、我儘で自己中というオプションがもれなくついてくる」

浩平は何故だか自信満々に断言した。


「それ、褒めてる?」

「褒めて……ないかも?」

意味ありげな悪戯っぽい笑みを浮かべてそう言うと、浩平はくるり、身を翻して部屋の扉に手を掛けた。


咄嗟に、背後から勢いよく抱きついた。でもそれは、引き留めようとかそういうのじゃなくて、ただ、その細身だけどガッチリした男らしい背中に縋りつきたくなった。

愛しさが溢れ過ぎて、身体が破裂しそうだったから。