「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「そんな……浩平……」

ボソボソと弱々しい声しか出てこない。おまけに返す言葉も見つからない。


「俺はこの仕事ができれば何処でもいいし」

「この仕事って言っても、向こうは病院だよ? 仕事内容はガラッと変わるに決まってる」

「病院っつったって、俺が出来ることなんかケアしかねぇじゃん。医療的なことは看護師がやるだろ? 何も変わんねぇよ」

躊躇も迷いもなくそう言って、浩平は屈託なく笑った。


「浩平……ほんとは怒ってる?」

「全然」

「じゃあ、呆れてる?」

「全然」

「じゃあ……こんな私のこと、どう思ってる?」

「お前、何が聞きたいの? どう思うもなにも、俺にとって杏奈は――

――最愛の奥さんですけど?」


うるる……。目に溜まった涙で視界が滲む。


「こんな……我儘で自分のことしか考えられないダメダメな私なのに?」

「人間なんてみんな、自分が一番可愛んだよ。自己中、我儘なんか当たり前。それを我慢できるかできないかって話で、杏奈は我慢できないから仕方ねぇよな? それがお前だもんな?」

「何それ、ひっどっ!」

「酷くねぇだろ? 事実だろ?」

浩平は可笑しそうにクツクツ笑い出す。