「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

浩平に連れて行かれたのは、やっぱりリネン庫だった。私にとってリネン庫は、もはや説教部屋という認識。


浩平は後ろ手にスライド扉を閉めて、二人きりの空間を作ると、

「柘植、何て?」

口を開くなり核心に触れた。


「柘植次長、夫婦が同じ職場ってのはマズいって」

「で?」

落ち着いた物腰で続きを促す浩平は、涼しげな無表情。感情が読み取れないのはいつものことだけど、今に限っては、とんでもなく不安になる。だってここ、説教部屋だし。


「で、私に本院へ行けと」

「で?」

「浩平はここに必要な人材で、私は必要ないから私が行けって言われたのっ!」

「だから?」

「だから! 私だってここの職場気に入ってんのに、酷いよね? って話だよ」

「そうか?」

浩平は不思議そうに小首を傾げた。なんでよっ?


「同じ職場がマズいだけなら、デイ(デイサーピス)だって、別の階だっていいわけでしょ? 何も本院に異動させなくても……。ただ単に、手薄な部署の人員確保がしたいだけじゃない。『夫婦がぁ』なんて、体のいい口実じゃない」