「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

なんですとぉ?



「ちょっと米山、そういう言葉はちゃんと濁してよ。てか、女性の前で使うなっ!」

などと捲し立ててはみたけど、妙に納得してしまっている自分も居て。



「『女性』の前? 『女性』ってどこ? つーかさぁ、先にシモいこと言ったの誰だっけ?」


すかさずそう返され、思わず口籠ってしまう。



『鼻がデカい人って、アソコもデカいんだよね?』



私だ。

先にシモいことを言ったのは、紛れもなく私だ。




自分の席に戻った米山は、椅子にストンと腰を落とした。そうして何事もなかったかのように、お弁当のご飯の上に私のふりかけをハラハラと撒く。



この話題はどうやら終結を迎えたみたい。

ホッと胸を撫で下ろす。


あっぶなーい、あやうく地雷を踏むところだった。いや、もう踏んだか?



それでも警戒心が完全には解けず、ビクビクしながら米山の様子を窺っていた。