「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

「お前なんか、頼まれても抱くか」


去り際に米山がボソッと落としていった呟き。不覚にもそれを、私の耳はしっかり拾ってしまう。



「ちょっ……今、何て?」


「お前みたいな性格ブス、頼まれても抱くかって言った」


えっ? さっきより中傷度が増しているような気がする……。



「抱く抱かないに性格関係ある?」

ムキになって問い返せば、

「何怒ってんの? もしかしてお前、俺に抱かれたいの? 俺、不細工だけど、いいですか? 薬師丸さん?」

薄く笑ってそんなことを言う。


バカにしやがって。こんな時だけ『さん』付けで呼ぶところなんかが、一層、私の怒りに火をつける。



「別に怒ってなんかっ! 私はあんたの矛盾点を指摘してるだけじゃん」


「矛盾? どこが?」


「性格ブスは抱けないなんて、そんな訳ないじゃん」


「そんな訳あるだろ? 愛してないと、いいセックスは出来ない」