引き出しの中にはリモコン類や駅で貰ったポケットティッシュ、目薬や頭痛薬など、普段使う物がテキトーにブッ込んである。それらを搔き交ぜたりひっくり返したりして、大捜索に全力投球。


見付けたA5サイズのメモ帳みたいなのは、取り出してパラパラと捲ってみたり。ひょっとしてラスいち(ラスト一個)が挟まってねぇかなぁなんて、淡い期待を抱いて。


やっぱり無かったけど。



「こーへー、いじわる……」


俺がじらしてるとでも思ったのか、ベッドの上に置き去りにしてきた杏奈は、横たわったまま艶めかしく身体をしならせ、拗ねて見せたりする。


意識してか無意識か、じれったそうに太腿と太腿を擦り合わせ、『早くちょーだい』アピール。


益々俺、焦る。



「あのさ、」

それを口にするのはとてつもなく心苦しいけども。


意を決して――というか覚悟を決めて、今起こっている悲劇を告げた。


「コンドーさんが居ない」


「えっ、うそっ」


「嘘なんか吐くかよ、まじだって」


「浩平、使い過ぎっ!」


俺だけが責められる意味がわからん。