「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」

薬師丸は、その悪口がしっかり俺の耳に届いたことに多分気づいている。俺へと視線を寄越し、でも目が合うとすぐに自分から外した。



けど、俯いてほんの少し考えて、やがて再び俺に視線を真っ直ぐ寄越し、こう言った。



「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの? 顔以外はすっごく素敵なのに。ねぇ、アキさん?」



自分が美形ではないことは知っていた。けど、面と向かって言われるのは始めてで、思わず――

吹きそうになった。



そこをグッと堪え、あくまで平静を装い、

「余計なことしゃべくってねぇで、仕事しろ」

と冷たく返した。




コイツ、バカなんじゃねぇの?

好き好んで『不細工』やってるヤツなんか居るかよ。自分じゃどうしようもないから『不細工』なんだよ。それを『どうして?』って聞かれて答えられるかよ。