「・・・きら・・・明ってば!」
化学のプリントの切れ端に、ほとばしる思いを黙々と書き連ねていた私のわき腹を、凛が肘でつつく。


はっとして顔を上げると、西山先生が見放したように私を見ていた。

一瞬身構えるけど、西山先生は何も言わずに授業を続けた。


「もう、明ってば。先生ずっと明の事見てたんだから」
ごめんごめんと舌を出して謝りながらも、凛が解いたプリントの解答を丸写ししようとする私をきちんと叱ってくれる。

持つべきものは親友。


凛は頭がよくて、素行が良くて、優しくて、
私に足りないものを全て兼ね備えている。

そんな存在。