「じゃ、帰るか」
沈みかけの夕日に照らされる恭ちゃんの笑顔に、心臓がうるさい。
「…ん、そうだね」
私も微笑み返しながら、二人帰路についた。
もっと一緒にいたかったってのが本音だけど………
今日は色々あったからなぁ…
雪村とかいう嫌味チビ野郎にムカつくこと言われたけど。
でも、あいつのおかげで恭ちゃんとの距離が縮まった!!………気がする。
とにかく、離れなくてもいいって言ってもらえたり
抱き………抱………っ…
その……
ギュー、してもらえたり………
これ夢か!?ってぐらいの良いことがあったんだから、次ヤツにあったらお礼言わなきゃな。
思い出すと………
くふふふふふ………
超にやける…!!
だってだってだって!!
あのおっきなあったかい手で私を抱き寄せた感覚が、まだこんなにも残ってるんだよ!?
洗い流すのがもったいなさすぎてお風呂に入りたくなかったぐらい…!
お母さんに促されて渋々入ったけど。
お風呂に入ってる間も今日のことばっかり考えてニヤニヤ。
この浮かれた気持ちを少しでもどうにかしたくて、記念にスケジュール帳の今日の日付にハートマークを描いておいた。
「うっふっふー!ハートでいっぱいになる日が来ればいいのになぁー!」
…なーんてね
願望、願望。
「夢にも出てきてよね、恭ちゃん」
ベッドの上に飾ってある写真立ての中、私とツーショットで笑っている恭ちゃんに(チューしたいとこだけど恥ずかしくて出来ないチキンなの…)話し掛けて
「おやすみなさーい!」
電気を消した。



