それから少しずつだけど、あたしは海の前でだけ感情を表に出すようになっていった。





そして、小学校3年生のクラス替えで和樹と同じクラスになった。

和樹と隣の席になった時、やたらと話し掛けられて、気づいたら和樹とも笑顔で喋れるようになっていった。


それでもあたしは、まだ人を信じることをためらっていた。


そんなある日、和樹は、あたしにきいてきた。



「おまえ、なんでほかの奴の前では笑わないんだよ?」



あたしが答えられずにいると、さらに続けた。



「もしかして、だれも信じてないのか?」



今思えば、和樹って人の隠し事を見破るのが上手い。

見事に図星をついてくる。



「おまえさー、自分が相手を信じないと、相手も信じてくれねーんだぞ。」



あたしはその言葉にハッとなった。