「なんで?理由は?」



追い打ちをかけるように、杉崎は意地悪く笑いながら近づいて来る。



「………に……ない。」



あたしは下を向いたままポツリと言った。

大きな声を出せば、その拍子に涙がこぼれてしまいそうだった。



「なに?聞こえないよ?」



…もう限界!



「あんたなんかに、あたしの気持ちなんてわかるはずない!」



そう叫んだ瞬間、我慢の糸が切れたかのように、目から涙がボロボロこぼれてきた。



「……なっ!?え?おい…?春花…?」



杉崎が驚いてあたしの顔を覗き込んできた。



「見るな!出てって!」


「…えっ?」


「早く出てって!」



あたしが再び叫ぶと、杉崎は困惑した顔をしたがしぶしぶ事務所から出て行った。

さっきまで意地悪ばっかしてたのに、出て行く時は、チラチラあたしの方を振り返って気にしていた。


本当にわけわかんない。