こらしめ屋



《カラン、カラン》



と乾いた鐘の音が鳴り、入口の方に目をやると、30代後半程の女性が立っていた。



「すみません。予約していた杉原ですけど…。」


「はい。お待ちしていました。そちらのソファーへどうぞ。」


「失礼します。」



2言、3言喋っただけだけど、言葉遣いや物腰から品の良さが伺える人だ。



「あっ!お茶どうぞ。」


「有り難うございます。」


「え~っと。まずは自己紹介を…。春花っていいます。一応、こらしめ屋の経営者です!」


「あなたが経営者さん!?中学生ですよね?」


「はい!今、3年で、粟山中に通ってます。」


「大丈夫なの?」



この『大丈夫なの?』はどの意味なんだろ?

『信頼しても…』って意味か、『受験は…』って意味か。


まぁ、どっちにしろ返事は決まってる。



「大丈夫です!任せてください。」


「そう…。」



杉原さんはまだ少し心配そうな顔をしていたが、あたしは構わずに話を進めた。