こらしめ屋






学校が終わると、あたしはソッコーで帰る用意をして、



「じゃあね、海。ばいば~い!」


「渉も和樹もまたね!」



と、言って教室を出た。


授業中はネガティブなこと考えすぎたけど、皆の前では笑顔で過ごす。

気付かれちゃいけないから…



玄関で靴を履きかえていると、後ろから、



「春花!!」



と、呼ぶ声が聞こえた。



「どしたの?和樹。今日は得にすることないよ?」



あたしが笑顔で返すと、和樹は怒った顔で言った。



「……。思ってたんだけどさ、お前…作り笑いやめろよ!!」


「えっ?」



一瞬、あたしの周りの時間が止まったみたいだった。



「な、なにそれ?意味わかんないんですけど?作り笑いなんてしてないし。」


「嘘つくなよ!!」


「う、嘘じゃない!!ちゃんと笑ってる!!」


「嘘だろ!!お前、なんか隠してるだろ!?」


「違う…。違う!違うもん!!何にも隠してない!!嘘だってついてない!!」



あたしは辛くて、和樹から逃げたくて、走ってその場から逃げた。