こらしめ屋



夢をみた。



お母さんとお父さんがいる。

なんでか、顔がはっきり見えない。



「お母さん!お父さん!」



あたしは笑顔で駆け寄るんだけど、近づけない。



「なんで!?お母さん!お父さん!」



叫んでる筈なんだけど、声にならない。



お母さんがお父さんに何か言ってる。

すると、お父さんが『こくり』と頷いて、あたしから逃げる様にして去って行く。

お母さんも、それに続く。



「待って!お母さーん!!父さーん!!追いてかないで!!」



目からボロボロ零れる涙。

叫んでも、叫んでも、二人は遠のいていく。



「待ってよ!行かないでよ!!待ってぇー!!」








そこで目が覚めた。


夢の中とリンクするように、涙で枕が濡れていた。



下から、マスターの呼ぶ声が聞こえる。



「春花ちゃん?朝食できてるよ。」



まだ少し目に残っている涙を拭い、



「今、行くー。」



と、返事をして、階段を下りていった。