それから何日かして探偵事務所を覗いてみると、もう夏柑はいなかった。



「いつのまに…」



夏柑のいなくなった事務所は、暗くてジメジメした雰囲気をまとっていて、とてつもなく寂しくなった。



大丈夫。

きっとまた会える。



そう思って、事務所をジッと見つめてから、あたしはその場を去った。





ばいばい。

ダルダルで俺様な、天才探偵さん。












それから色々なことがあった。


綾瀬夫妻の死亡届偽造事件は、証拠や証人の確認が出てきて有罪となった。


また、偽造だけでなく、あたしへの虐待の面でも罪に問われている。

それもあって、あたしは今放送局やら新聞記者やらのマスメディアに追っかけられて、とてつもなく忙しい。


このままいけば、あたしには多額の賠償金が入るらしい。

これこそ、こらしめ屋を経営する意味がないことを理由づける要因になる。



ほんと、どうしようかな…