「言えねぇな。…ま、そんなわけで、もしお前がこらしめ屋を続けたとしても、俺は手を貸せねぇぜ?」
「あたしには、仲間ができたから大丈夫だよ。」
「確かにな。」
夏柑は『ハハ』と少し寂しげに笑った。
「問題は夏柑の方でしょ?夏柑は一人で大丈夫?」
あたしがそう言うと、夏柑は少し驚いたそぶりを見せた。
そうかと思うと、今度は声をあげて笑い出した。
「アハハ!さすが春花!まさか、逆に俺が心配されるなんてよぉ。」
夏柑はお腹を抱えて、さも楽しそうに笑う。
「笑いすぎ!せっかく心配してあげたのに!」
「いや、バカにしてるんじゃねーよ。」
とか言いつつ、夏柑はまだ笑ってる。
相変わらず失礼な奴。
でも、もう少しで、この自己中で失礼でダルダルな天才探偵にも会えなくなるんだ…
「ありがとな、春花。」
「…へ?」
夏柑が、あたしに『ありがとう』って言った!?
明日は雪だ。
今夏だけど、降っちゃうよ!


