「そうそう。そのこらしめ屋なんだけどよぉ、まだ続けるのか?目的はもう果たせたんだろ?」
「う…ん…」
あたしはハッキリとは答えずに、俯いた。
自分でも、まだわかんない。
もう、こらしめ屋でお金を稼ぐ必要はないのに…
なんか、違う。
「ま、どっちにしろ言わなきゃなんねぇんだがな。」
「……?」
「俺、この街出るわ。」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がズキリと痛んで、心臓が不規則に波打った。
「えっ!?なんで…?」
「綾瀬夫妻に、俺の正体言っちまったし。この街にはもう、いられねぇ。」
「そんな…」
「噂はすぐに広まる。今週中には、姿をくらますぜぇ。」
「いつもそうやってきたの?」
「あぁ。色々な場所を転々としてきた。有名人は大変なんだよ。危ねぇ奴らも寄って来る。」
夏柑はもう決めているようで、淡々と話を進めていく。
止めても、夏柑の答えは変わらないんだろう…
「そっか…。どこへ行くの?」
泣いてしまいそうなのを堪えて、どうにか会話を続ける。


