「なんだよ、海。」



和樹が怪訝そうに肩に乗せられた、海の同情の手を見る。



「ううん。なんでもないよ。ただね、不敏だなぁって思ったの。」


「は?フビン?」



和樹は言葉の意味がわかっていないようだったけど、海にとってはその好都合だった。

言葉の意味を知っていたら、春花と付き合えることはないってことが気づかれてしまう。



「和樹、知らない方が幸せなこともあるんだよ?」


「は?」



海は、意味のわかっていない和樹の肩をさらにポンポンと叩いて、最後に一言だけ、



「告白は、まだやめといた方がいいんじゃないかな?」



と言って、何事も無かったかのように仕事に取り掛かった。




和樹は少し考える素振りを見せたが、海の言葉を信じて、告白は先延ばしにすることに決めた。

海の言ったことは必ず当たりになり、間違った試しがないからだ。




そう考えていると、渉も事務所に到着したので、他のメンバーを見習って和樹も仕事に取り掛かることにした。




両親へのこらしめプランは、徐々に整い始めていた。