夏柑の事務所を出たあたしは、こらしめ屋の事務所に戻ることにした。

もう、みんな帰っているかもしれない。





扉を開けると、



《カラン、カラン》



と、鐘の音が鳴る。



………。



誰も出て来ない。


みんな帰ったみたい。



奥へと進む。



「…春花?」



誰もいないと思っていたのに突然後ろから名前を呼ばれて、あたしは思わずビクリとはねた。

後ろを振り返ると…



「…海かぁ。良かった。びっくりさせないでよー。」


「ごめん、ごめん。ちょっと奥で調べ物してて。」


「そうだったんだ。和樹と渉は?もう帰った?」


「うん。20分くらい前に…かな?」


「そっか…」


「…?春花、どうしたの?なにかあった?」



海が心配そうに言う。



「うーん…。これと言って何かあったわけじゃないけど…」



和樹もそうだけど、海も結構鋭い。