そんなことを思いながら歩いて行くと、いつの間にか正面玄関まで来ていた。
大理石の階段を3つ上がり、立派な錠構えの扉の前に立つ。
あたしは一呼吸おいてから、扉を押し開いた。
中にはアンティーク調の古風な絨毯が敷かれている。
廊下の両脇には、これまたアンティーク風な花瓶や絵画が置かれている。
相変わらずの中身。
「父と母はどこだろう?」
四季が困った様子で呟く。
あたしにはなんとなくだけど、あてがあった。
「たぶん居間にいるんじゃない?」
「どうして?」
「たぶんだよ。重要な話をする時は、いつも居間でって決まってたから。…ま、昔のことかも知れないけど。」
そう、昔はそうだった。
今はどうだか知らないけれど、家族の大事な話し合いは居間だって…
まあ、あたしを置いて行った時点で、そんなルール、あってないようなものだけどね。


