門をくぐると、そこは7年前と同じ景色が広がっていた。


毎朝ランドセルを背負って通った、門までの小さな小道…

その脇に並んで植えられている、昔はまだ小さかった木々と、その足元から覗くように咲く、色とりどりの花…



…あれ?



あたしはそこまで思い出に浸ると、気づいてしまった。


久しぶりの家に感動したし、美しい景色はよく覚えているのに、家族との良い思い出がないということに…



変なの。

大切なものは無くしてから気づくってよく言うけど、無くした後にそれすらもないって気づくなんて…

そうとうバカだよね。




今思えば確かにそう。

父親も母親も、どこか変だった。


あたしに厳しくしていたのは、愛情だと思ってたけど、違う。


目も合わせない。

喋りかけてもくれない。


これが普通の家庭だと思い込んでいたあたしは、海や和樹の家族の話を聞いて、びっくりした覚えがある。

それと同時に、うらやましいとも思ったんだっけ…