こらしめ屋



「と言っても、僕は一部分しか知らないけど…」



あたしは頭が追いつかず、ただ呆然と四季の話を聞く。



「春花の父親、綾瀬聡は、僕が12の時に養子として綾瀬家に迎え入れた。理由は後継ぎが欲しいからだと言っていた。僕は当然、僕の他に子供がいないものだと思っていたし、母親である綾瀬文子(フミコ)もいないと断言していた。」



その名前を聞いた時、あたしの体は、ほとんど無意識にビクッと震えた。


綾瀬…文子…

お母さんだ。



四季は続ける。



「だけど違った。春花という実の娘がいる。僕は春花の話をしているのをたまたま聞いて、同い年の姉の存在を知ったんだ。それで…その話の内容が…」



四季の言葉は、そこで一度途切れた。

言おうか、言うまいかを悩んでいるみたいな…


そんな四季の姿から、きっと、辛い現実が待っていると、わかっていながらも、あたしは先を促した。



「いいよ。言って?」