こらしめ屋



「え。じゃあ…」



海が期待したような目で何かを言いかけたけど、



「ま、ショックっていうか、つまんないって思ったけどさ。」



と付け足したあたしの言葉を聞いた途端に、きょとんとした顔になる。



「へっ?」


「だから、つまんないなーって思ったの。せっかく和樹をからかうネタになると思ったのに。」



あーあ…

まじで残念だったな。

なんで付き合わなかったんだ、和樹。



「やっぱり脈なしかぁ。どんまい、和樹。」


「え?なに?山脈?」



海がぽつりと呟いた声が上手く聞き取れなくて、あたしは聞き返すと、慌てた様子で、



「な、なんでもないよ!こっちの話!」



と言って、あははと笑ってごまかしていた。



「……?」



珍しく焦っている海。


山脈がどうしたんだろう?


聞き間違いも甚だしいあたしは、そんなすっとぼけた考えを巡らせていた。