それからの入院生活はまったく平凡なもので、お腹の痛みと散歩にも行けない退屈さを除けば快適だった。
和樹と海と渉が日替わりでお見舞いに来てくれたし、夏柑や冬瓜も仕事の合間をぬって来てくれている。
マスターは仕事が忙しいみたいだけど、夕方遅くにちょこちょこ顔を見せてくれる。
平凡な毎日。
幸せだなって思う。
だけど、平凡なんてすぐに壊れちゃうものなんだってことを、あたしは実感することになる。
なぜなら、運命のカギを握った誰かさんが、この病室に駆け込んで来たから…
あたしの平凡は、運命によって非凡へと変わってしまったんだ。


