「渉も、ありがとね。」
あたしがそう言うと、渉はキョトンとした顔をした。
「…なにがですか?」
「なんていうか…代弁?あたしじゃ恥ずかしくて言えなかったし。」
「それくらい、お安い御用です。」
そう言って笑った渉の顔が、仲間との絆を深く感じさせてくれた。
さっきまでは、ケガのことで陰気臭かった病室も、今はもう陽気な雰囲気をまとっていた。
みんなで絆を深めあって、信頼して、支え合って、笑いあって…
時には泣いて、心配したり、されたり…
そんな関係が嬉しかった。
平凡なんてつまんない。
って言う人もいるけど、あたしはそうは思わない。
幸せが崩れたり、仲間を失ったりすることが非凡なら、あたしはそんな刺激はいらない。
いつもの場所にみんながいて、いつものようにみんなで笑う。
そんな平凡な毎日が、明日も明後日も、ずぅ~っと続けばいい。
そう強く思うんだ。
今はただ、幸せなこの時間を噛み締めていたい。


