「…な!?ど、どうなってんだ!?」
そう言いながら、宮武は刺された筈の場所をさする。
あたしは、もう可笑しくてしょうがない。
笑いを堪えながら、説明して上げた。
「つまり、こういうこと。」
ナイフの切っ先を自分の手の平に向けて、ギュッと突き刺す。
血なんかでるわけがない。
だってこれ、おもちゃのナイフだもん。
力を込めて押すと、刃の部分が柄の部分に収納されるってやつ。
勢いよく相手に突っ込んでいけば、それなりに痛いけど、どう頑張っても肉を切ることはできない。
「どう?少しは死の恐怖を味わえた?」
「…っざけんな!この、くそ女ぁ!」
怒った宮武が顔を真っ赤にして、あたしの方に突っ込んできた。
でも、これは想定の範囲内。
殺人を犯した宮武からは、キレやすいという性格が容易に想像がつくし、そんな行動をとると考えるのは当たり前だ。
あたしは難無くかわして、次のプランへと移った。


