こらしめ屋



渉の言った、仲間という言葉に胸が痛んだけど、あたしの意思は変わらない。



「うん。だけど、危険な依頼だから。みんなを巻き込みたくないんだ。渉も海も和樹も、みんな大切だから、危ない目に合わせたくない。」


「でも……」



なにか反論を言いかけた渉の言葉を遮って、あたしは続けた。



「だからお願い。このことは、秘密にしといて?見なかったってことで!」



あたしが、渉の目を真っ直ぐに見つめて強く願うと、しばらくして、しぶしぶだけど、



「わかりました。」



と、言ってくれた。

あたしは、ホッと胸をなで下ろす。



「よかった。ありがとう、渉。」


「はい。でも、気をつけてください。絶対に無茶しないでください。」


「わかってるよ!」



そう言って笑うと、少し安心したのか、渉も力が抜けたように、ふにゃりと笑った。






その後は、何事もなかったように作業を終わらせて、渉は家へと帰って行った。



あたしも、明日の為に急いでマスターの元へと帰り、素早くお風呂に入って、布団に潜り込んだ。


少しの不安を抱きながら…