-次の日-
あたしがお茶をすすりながら事務所でくつろいでいると、入り口の鐘が、カランカランと元気よく鳴る。
それとほぼ同時に、
「おじゃまします!」
という、渉の声が聞こえた。
時計を見ると、まだ1時前。
ずいぶんと早く来てくれたみたい。
「入って、入って。あ、お茶飲む?」
あたしは入り口に駆け寄り、渉を奥へと案内した。
「あ、えと、いただきます。」
渉がソファーに座ったのを確認して、あたしは奥の机に置いてあるポットからお湯を出して、素早くお茶をつくった。
今日はいい天気で、とてつもなく暑いので、それに氷も入れた。
「はい、どうぞ。」
ソファーに座っている渉にお茶を差し出すと、
「ありがとうございます!」
と言って、コクコクと飲みはじめた。
それを見て、あたしも向かいのソファーに腰掛けて、飲みかけのお茶をグイッと喉に流し入れる。
ぬるめのお茶の苦みと甘味が、喉に心地よかった。


