桜木町を出た後は、真っ直ぐ親和町に向かい、夏柑の事務所へと戻った。

そして、制服に着替えた。



「夏柑、今日はありがとね。重要な情報が手に入ったよ。ま、そのお陰で怖い思いもしたけど…」


「虎穴に入らずんば虎児を得ず、って言うだろ。」


「減らず口。夏柑って、口だけは達者だよね。」



すると、夏柑は少しムッとなったけど、胸を張ってこう言った。



「俺は口だけじゃねぇ。運と実力も兼ね備えてるんだぜ。」


「はいはい。」



どっちかっていうと、運の方が強いんじゃないかと思う。

だって、さっきの宮武とのすれ違いは、本当に危なかったから。



「じゃあ、あたし帰る。また情報が入ったら、ちゃんと連絡してよね。」


「へいへーい。気が向いたらな。」



こうして、いつものやる気のない返事で見送られたあたしは、夏柑の探偵事務所を後にした。