そんなこんなで、今は人ん家に勝手に入って、部屋を漁っている最中。



「夏柑、なにかあった?」



たんすの引き出しを一つ一つ見終わったあたしは、向こうでごみ袋の中を漁っている夏柑に呼び掛けてみた。



「………。」



夏柑はシカトした。


なるほど。

まだ、何も見つかってないってことだな。

負けず嫌いで、見えっ張りな奴。



あたしは仕方なく、再び、なにか手掛かりになるものを探し始めた。

この部屋の住人が帰って来るまでに、早く出ないと。








そして、なんとなく冷蔵庫を開けて、中身を見ていた時だった。

(ちなみに、ビールばかり入っていた。)



「あった!おい、春花!」



夏柑の誇らしげでもあり、嬉しそうでもある大きな声が聞こえた。



「夏柑!声でかい!」


「わりい、わりい。」



笑顔で謝る夏柑には、少しも悪びれた様子がない。



「で、なにがあったの?」


「後で見せてやるよ。とにかく、ここ出るぞ。」