4階の廊下にも、あたし達の他には誰もおらず、静けさが不気味な程だ。
401号室。
夏柑の情報が正しければ、ここに宮武が住んでいるはず。
そのことを改めて思ったあたしの心臓は、急に心拍数を上げて、ドクンドクンと煩いくらいになった。
それと同時に、殺人犯の家の前にいるという思いも込み上げてきて、手に汗が滲んだ。
「おい、これ見てみろよ。」
玄関ドアについている郵便受けを漁っていた夏柑が、そう言って、一枚のハガキを見せてきた。
「あっ!これ、宛て先が!」
「ばかっ!声でけぇよ。落ち着け。」
「…ごめん。」
夏柑が見せてくれたハガキの宛て先欄には、ここの住所と《武三谷 様》の文字が、はっきりと印刷されていた。
「たけみや…。もしかして、アナグラム?ってことは、宮武!?」
「どうだかな。だけど、その可能性は十分にある。」
用心深い。
確かに、もしかしてということがあるかも知れない…
でも、これ以上の情報をどうやって手に入れるつもりなんだろう?
まさか…


