夏柑と一緒に事務所を後にし、親和町から一旦白銀通りに出て、桜木町へと向かう。
夏柑の身長はそこそこ高くて、あたしよりずいぶん長い脚から繰り出される一歩一歩はかなり大きかった。
「夏柑!歩くの速いよ。ちょっとスピード落として?」
小走りでついて行きながら、あたしがそう言うと、
「春花が遅ぇんだよ。脚短すぎ。」
と、バカにしながらも、歩くスピードを緩めて、あたしのすぐ横をゆっくりと歩いてくれた。
なんだかんだで、いい奴。
「つうか、普通に女言葉つかってんなよ。男装した意味ねー。」
「あっ!そっか!気をつける!」
「できれば、あんま喋んなよ。バレるぞ。」
「はいはーい。心配してくれてんだ?ありがとね?」
「べっつにー。つか、また女言葉。」
「あわわ!えっと…、ありがとな!……とか?」
「ん。そんな感じ。」
男装と言葉遣いだけで、女だってバレない確信はないけど、少なくともあたしよりは人生経験豊富な夏柑が居る限りどうにかなりそうだ。
ちなみに、夏柑はもう21歳だからね。


